知っておきたい基礎知識
ゴルフって?
ゴルフは600年ほどの長い歴史があるスポーツで、他のスポーツではあまり見られないような、ルールとしては明文化されていないけれども守るべきもの(マナーの概念)があるなど、独特の特徴があります。このコーナーでは、ゴルフとはどんなスポーツなのか、ゴルフの歴史、マナーについてを紹介しています。
ゴルフってどんなスポーツ?
ゴルフは、1つのボールを打って進み、ティーグランドからカップ(ホール)に入れるまでに何打必要とするか、その打数の少なさを競う競技です。
ゴルフ場にはカップは通常18個用意されており、その1つ1つでそれぞれ競技すること(場所)を『ホール』と言います。この1つ1つのホールを1つのプレー単位とし、18ホールすべてを終えた時点での優越で勝敗を決定します。(野球と比較して説明しますと、野球では1回・2回という単位が、ゴルフでは1ホール・2ホールとなり、野球では9回で勝敗を決定するところが、ゴルフでは18ホールということになります。)
1つのホールはティーグランドからボールを打つことによりプレーが始まり、そのホールに用意されているカップにボールを入れることによりプレーが終了となります。
各ホールのティーグランドからカップまでの間には、芝生の植えられたフェアウェイやラフといった比較的ボールを打つのが容易なエリアと、バンカーや池・森など、ボールを打つのが困難なエリアが混在して配置されています。これらのエリアの中を、カップを目指してボールを打ちながら進みます。
そして、カップの周辺にはグリーンと呼ばれる芝のきれいに刈り込まれたエリアが用意されています。このグリーンは最終的にカップにボールを入れるために準備されているエリアで、ここでのボールの打ち方や取り扱い方は他のエリアと異なることが多いので注意が必要です。
こうして各ホールごとにプレーを行うゴルフには、大きく分けて2つの競技形式があります。
1つは18ホール全てでプレー終了した時点での総打数を競うというもので、この競技形式を『ストロークプレー』と言います。もう1つは各ホールごとに勝敗を決め、18ホールのうち、どちらが多くのホールで勝てるかということを競うというもので、こちらの競技形式は『マッチプレー』と言います。
ゴルフの歴史
ゴルフ発祥の地として、スコットランドやオランダ、フランスなど欧州諸国が幾つか挙げられるのですが、現在はスコットランドとする説が最も有力なようです。
スコットランドを発祥とする説によると、ゴルフの元となる競技が生まれたのは14世紀頃だそうです。その時代の羊飼い達が、放牧地に出来ていたウサギの巣穴などの地面に出来た穴に、木の棒で小石を打ち入れて遊んでいたのがゴルフの始まりだとされています。
この遊びが競技として世間に広まるにつれ、小石は木を削ったボールとなり、そのボールは木製から皮製、ゴム製へと進化していきます。小石を打っていた棒も、打ちやすいように形を整えたものとなり、また、木製以外にも鉄製などが現れてくるようになりました。また、最初は放牧地で行われていたこの競技も、放牧地ではなく、専用に整備されたゴルフ場で行うようになりました。
こうして時代が進むのと同時に道具やルールも変化し続け、19世紀の後半には現在のほとんど変わらないゴルフへと進化してきたのです。
ゴルフのマナー
14世紀に羊飼い達がこのゴルフの原型と言える遊びを始めた頃、この遊びはまったくお金のかからないものでした。しかし、専用の道具を必要とし、専用の競技場で行うスポーツへと進化していくにつれ、楽しむにはお金が必要となり、ゴルフは庶民のものから裕福な人々のものへとなっていったのです。
裕福な人々、紳士淑女のものとなったゴルフは、プレー以外にもマナーとして様々なことが求められるようになりました。その最たるものが服装です。多くのゴルフ場では、最低限の服装をすることが求められます。具体的には、
- 襟付きの服でなければいけない
- ジーンズやTシャツ、短パンなどはいけない
- 靴は紐のあるもので、サンダルなどはいけない
などです。
また、服装以外にも競技をする上でマナーとして求められているものには、
- 他のプレーヤーのプレーの妨げをしてはいけない
(ヤジらない、プレー時に声をかけない、動いて集中力をそがさない、など) - 迅速なプレー進行を心がけなければならない
(移動を速くする、素振りをしすぎない、状況やクラブ判断を早く行う、など) - 他のプレーヤーに影響が出ないようコースを回復する
(ディボットやグリーン上に出来た損傷の復旧、バンカーの整地など)
などです。
ルールはもちろんのこと、以上のようなマナーもしっかり守り、プレーヤー全員が楽しくプレーできるよう、自身がプレーする時には心がけましょう。
ゴルフのルール
ゴルフはゴルフ場という広大な敷地内でプレーをするという競技なので、プレーの進め方から、その場での状況判断の方法まで、非常に多くのことがルールとして細かく定められています。このコーナーでは、その中でも最低限知っておくべき基礎的なルールを抜粋して紹介しています。
ボールの打ち方
ゴルフはボールをクラブで正しく打たなければいけません。
グリーン以外のエリアでは『ウッド』『アイアン』『ウェッジ』と呼ばれるクラブをそれぞれ使い分け、スイングすることでボールを打ちます。グリーンでは『パター』でボールをパットして打ちます。
ボールの正しい打ち方というのは定められており、『押し出す』『かき寄せる』『すくいあげる』などしてボールを打つことはルール違反となります。もし違反すると、2打のペナルティが付加されます。
打数の数え方
ボールを打とうとしてのスイング動作を1打と数えます。
ボールを打つ意思というのがスイングか否かの判断基準になりますので、素振りでの練習はもちろん打数には含まれません。しかし、ボールを打とうとしてスイングしたが空振りしてしまった、という場合は、ボールがまったく動いてなくても1打と数えられます。
基本的にはこの打数だけを足していくのですが、OBや紛失球となってしまった場合や、ルール違反を犯してしまった場合などは、その都度ルールに定められた打数がペナルティとして加算されます。(ペナルティでつく打数などについては『ペナルティについて』をご参照ください。)
ボールの打てるところ、打てないところ
ゴルフでプレーが出来るエリアは、ボールを最初に打つ『ティーグランド』と呼ばれるエリアから、ボールを入れるカップのある『グリーン』と呼ばれるエリア付近までです。このエリアの外には森や池などがあり、プレー出来るエリアと出来ないエリアは、主に白杭を繋いだ線で区別されています。
この白杭で繋いだ線の外にボールが飛び出してしまうと(OB)、その白杭の外からボールを打つことは出来ず、1打の罰打を加算した上で、打った場所から打ち直しをすることになります。
他にボールを打てないのは、池や川にボールが落ちてしまった時です。これらの場所は白杭で囲まれている場合もあれば、赤杭で囲まれている場合もあります。この杭の色によってその後の対応の仕方が異なるので、杭の色や、ボールのある状況を考慮した上で、適正な対応を行います。
ティーグランドでのルール
ティーグランドだけに許されたルールがあり、その最たるものが『ボールをティーの上に乗せて打つことが出来る』ということです。また、ボールを打ちやすいようにするため、土をならしたり雑草を抜いたりすることも認められています。
グリーンでのルール
ティーグランドと同じく、グリーンにも独自のルールがあります。最も重要なのは、『パット』でボールを打たなければならないということです。グリーン上でパットをする場合、ピンは抜いておく、もしくはピンを他の人に持っていてもらい、ピンに当たりそうになれば抜いてもらわなければなりません。
もしカップにささったままのピンに当たってしまえば2打罰となるので注意が必要です。また、マークをしてボールを拾い上げることが出来たり、落ち葉などの障害物を取り除くことも出来ます。
また、ルールとしては定められていませんが、グリーンの芝は非常に繊細なものなので、走ったりクラブやピンを地面に刺してもたれかかったりするといった、グリーンを傷つけるような行為は慎むよう、マナーとして心がけましょう。
ルールへの対応
ゴルフが他の競技と大きく異なる点は、審判という第三者がプレーを進行し裁くのではなく、プレーヤー自身がルールに基づいて状況判断し、プレーを進めていくという点です。そのため、どうしても自身に有利なようにルールを解釈しがちなのですが、それでも自身の欲を捨て、『自身を有利にしない公正な判断』を心がけ、『プレーヤー全員が公平な条件でプレー』できるように努めることが大事です。
アンプレイアブル宣言の有無、OBかどうかの判断など、他プレーヤーの協力や確認が必要なものは、必ず協力や確認を求めるようにしましょう。ルールをより深く知ることがプレーの上達にも繋がります。
ゴルフの上達を目指すなら、プレー上達のために腕を磨くだけではなく、ルールへの理解度を深めるための努力も怠らないようにしましょう。
ゴルフ場について
一般的なゴルフ場は、クラブハウスという建物と、プレーをするための18のホールで構成されています。このコーナーでは、ゴルフ場のコースレイアウト例をイラストをもとに紹介しています。
ゴルフ場のコースレイアウト例
ゴルフ場はクラブハウスを中心としてアウトコース(1~9番ホール)とインコース(10~18番ホール)に分かれており、両コースには休憩に立ち寄れる『茶店』と呼ばれる施設が用意されていたりします。
このイラストの1~9がアウトコースの各ホール、の10~9がインコースの各ホールとなります。多くのゴルフ場では1つのホールにグリーンが2つ用意されており、Iが記されていない方のグリーン(サブグリーン)は多くの場合、グリーンではなく修理地扱いとなります。
ゴルフ用具について
ゴルフといえば道具を揃えるのも楽しみのひとつ。道具のチョイスの良し悪しでプレイに大きな差がでることもあります。このコーナーでは、数あるゴルフ用具の中でも基本的なアイテムについて説明をしていきます。
クラブについて
クラブは飛距離やライの状況など、使用する目的に応じて様々なクラブが用意されており、大きくは『ウッド』『アイアン』『ウェッジ』『パター』の4種類に分類することができます。
ボールを打つ大きな塊の部分を『ヘッド』、クラブを握る部分を『グリップ』、『ヘッド』と『グリップ』がついた棒の部分を『シャフト』と言います。
『ヘッド』の中で、直接ボールを打つ前面部分を『フェース』といい、このフェースが地面に対して垂直に近いように立っていると飛距離が出やすく、ボールは真っ直ぐ飛びやすくなります。逆に地面に対して平行になるようにフェースが寝ていると距離は出にくく、ボールは高い弧を描きやすくなります。
ウッド
ウッド(wood)という言葉通り、昔はヘッドが木製のものでしたが、現在ではチタンなど金属製のものがほとんどです。飛距離に優れているので、ティーショットやセカンドショットに使われます。1番から13番までありますが、主に使われるのは5番ぐらいまでで、この1~5番のウッドはクラブの番号ではなく、以下の別称で呼ばれることも多いです。
- 1番:ドライバー
- 2番:ブラッシー
- 3番:スプーン
- 4番:バッフィー
- 5番:クリーク
アイアン
距離や状況に応じて主に3番から9番までのものを使い分けます。1番から4番までの長距離用は『ロングアイアン』、5番と6番の中距離用を『ミドルアイアン』、8番と9番の中距離用は『ショートアイアン』といい、7番はミドルアイアン、ショートアイアン、どちらに含める場合もあります。
ウェッジ
飛距離はありませんが方向性に優れるので、主にアプローチやバンカーショットに使われます。『ピッチング』『アプローチ』『サンド』などの種類があります。
パター
主にグリーン上で、ボールを転がして打つために使われるクラブのことです。ヘッドの形状からシャフトの長さ、グリップの位置など、クラブにより大きな差があります。そのため、自分に合っているパターを選ぶことは難しいのですが、だからこそパター選びは楽しいものでもあります。
ボールとティーについて
ゴルフで使用するボールは重量45.93g、直径42.67mmと下限が定められていますが、素材や加工方法などはメーカーにより様々です。ティーは長さ101.6mm未満で、プレーの動きを指し示すような細工や装飾などを付けてはいけないと定められています。
こんな時どうする?
ゴルフでは、ボールが木の根元に止まってしまったり、ボールに落ち葉が乗ってしまったりと、プレーヤーが想定していない状況に陥ってしまうことが多々あります。このコーナーでは、そういった想定外の状況に陥ってしまった場合の対処法をいくつか紹介しています。
1.打ったボールがOBか紛失球となっているかもしれない
もしボールがOBか紛失球となっていれば、そのボールを打った場所から1打罰で打ち直しとなります。しかし、OBか紛失球になったと判明してから打ち直しに戻っていると大幅に時間をロスしてしまい、他のプレーヤーにも迷惑をかけてしまいます。
そんなことにならないよう、このような場合は他のプレーヤーに宣言したうえで『暫定球』を打っておきましょう。暫定球とは、ボールがOBか紛失球になっていれば、その打っておいた暫定球で1打罰のうえ、プレーを続行行することが出来るものです。
幸いにも最初に打ったボールがOBにも紛失球にもなっていなかった場合は、そのボールでそのままプレーを続行し、暫定球はプレーには使用しません。もちろん、この場合は1打罰はありません。
2.打ったボールが自分や自分の携帯品に当たってしまった
打ったボールが木に当たって跳ね返り、自分や自分の携帯品(クラブやバッグなど)に当たってしまった場合は、1打罰でボールが止まったところからプレーを再開します。もし他のプレーヤーに当たってしまった場合は誰にもペナルティはつかず、ボールが止まった地点からそのままプレーを再開します。
3.ボールを蹴飛ばしてしまった
深いラフに入ってしまったボールを探している時など、まれにこのようなことが起きてしまいます。自分のボールを蹴飛ばしてしまった場合は、1打罰で元の位置にリプレースしてプレーを再開します。もしリプレースせず、動いた場所からそのままプレーしてしまった場合は2打罰となります。
なお、他のプレーヤーのボールを蹴飛ばしてしまった場合は誰にもペナルティはつかず、元あった場所にリプレースしてプレーを再開します。
4.どちらが自分のボールか分からなくなってしまった
同じような場所に複数のボールがあるのですが、ボールのメーカーや商品名などが同じで、どちらが自分の打ったボールか分からない。もしそのような状況になれば、紛失球扱いとなり、打った場所から1打罰で打ち直しとなります。これは自分と他のボールの所有者、双方に共通しての処置となります。
このような状況を作ってしまわないよう、自分のボールには目印となるものを予めつけておきましょう。
5.間違って他人のボールを打ってしまった
間違って他人のボールを打ってしまった場合は2打罰で本来の自分のボールを打ち直します。間違ってボールを打たれてしまった方は、打たれる前にあった場所に無罰でボールをリプレースしてプレーを再開します。
6.ドロップしたボールが体に当たってしまった
ドロップしたボールが体に当たってしまった場合は特にペナルティはありません。再度やり直しとなります。
7.ボールが地面に食い込んでしまった
打球の勢いが強かったり、地面がぬかるんでいたから、という原因ならば、そのままの状態でボールを打たなければなりません。もし拾い上げて他の場所にプレースしたりすれば1打罰となります。ただ、他のプレーヤーが作った穴などに埋まってしまっていた場合は、無罰で拾い上げてドロップすることが出来ます。
8.サブグリーンにボールが乗ってしまった
本来サブグリーンはスルー・ザ・グリーンの扱いになるのでそのままボールを打てるのですが、それではグリーンが荒れてしまうため、多くのゴルフ場ではローカルルールでサブグリーンを修理地として扱っています。修理地とされていれば、無罰でグリーン外にドロップし、そこからプレーを再開することになります。
9.グリーンでパットしたボールがピンに当たってしまった
意図的に当てたとではないとしても、この場合は自分に有利になるようにプレーしたと判断されるために2打罰となり、ボールが止まった場所からプレーを再開します。(カップインした場合は2打罰のみです)
これは、カップにささったままのものでも、カップから抜いて倒して置いてあったものでも同じで、当たってしまえば2打罰となります。なお、グリーン外から打ったボールがカップに当たった場合は無罰です。
ペナルティについて
ゴルフでは、ルールに反する行為を行った場合、その行為の種類によって1打、もしくは2打のペナルティが加算されます。また、非常に悪質な行為に対しては競技失格の判断もされます。このコーナーでは、ペナルティの対象となる具体的なケースを抜粋して紹介しています。
1打のペナルティとなるケース
| ルール違反を犯した状況 | 1打ペナルティ後の対応 |
|---|---|
| ・アドレス後にボールが動いた ・マークせずにボールを拾い上げた ・ルースインペディメントの除去時にボールが動いた | リプレースしてプレー続行 |
| ・二度打ち ・打ったボールが自分に当たる ・打ったボールが自身のカートに当たる | 打ったボールが止まった地点でプレー続行 |
| ・ウォーターハザードにボールが入った ・ラテラルウォーターハザードにボールが入った | エリア外にドロップ ※プレー続行が可能と判断すれば、無罰でそのままプレーを続行することも可能。 |
| ・ボールが紛失球となった ・ボールがOBとなった | 打った場所から打ち直し |
| ・不正なドロップ | ドロップのやり直し |
| ・ボールがアンプレイアブルとなった | 2クラブレングス以内、もしくはピンからボールへの線上の後方にドロップ |
2打のペナルティとなるケース
| ルール違反を犯した状況 | 2打ペナルティ後の対応 |
|---|---|
| ・練習として違うボールを打った | 本来のボールでプレー続行 |
| ・スタンス時に石を置くなどして足元の状況を改善 | 元の状態に戻してやり直し |
| ・他人のボールを打ってしまった | 自分のボールで打ち直し |
| ・間違ったティーグランドから打ってしまった | 正しいティーグランドから打ち直し |
| ・パットしたらグリーン上の他のボールに当たった | 打ったボールが止まった地点でプレー続行 |
| ・ライを改善 ・ボール廻りを歩いたりしてボールが動いた ・ハザード内でルースインペディメントを除去した | リプレースしてプレー続行 |
| ・他のプレーヤーからアドバイスを受けた ・元とは違う位置にリプレースしてボールを打った ・ハザードにクラブを触れた ・グリーンでパットしたボールがピンに当たった ・ボールを打つ前にバンカー内でレイキをひいた ・マークの要望を無視しマークしなかった ・他人に傘を差してもらいながらボールを打った ・グリーンに触って芝の確認をした ・正しくないボールの打ち方をした (押し出す・かき寄せる・すくいあげる、など) | そのままプレー続行 |
競技失格となる恐れもあるルール違反
- マナー(エチケット)の重大な違反
- 14本以上のクラブの使用
- 間違ったティーグランドから打ってしまった後、打ち直さなかった
- OBとなったのに打った場所から打ち直さず、OBとなった地点付近からプレーを続行した
- 紛失球となったのに打った場所から打ち直さず、紛失した地点付近からプレーを続行した
- スコアの過少申告
- 競技開始時間への遅刻















